第21章 【甘】大人の恋愛/越前リョーマ
四人兄弟の末っ子で、花よ蝶よと育てられた私。両親、姉、二人の兄から大層可愛がられ、気分はお姫様だった。一番上の兄に良く似た私は小さい頃から可愛いと言われ、自分でも私は可愛いと自覚していた。クラスの男子からも可愛いだなんだと言われ、チヤホヤされたが、同い年の男の子はどうも子供っぽくてそういう対象に見る事は出来なかった。同い年の女の子より少しばかり背の高かった私は、中学生から声を掛けられる事も少なくなかったけど、お兄ちゃん以上にカッコいいと思える人と巡り会う事はなかった。
「あら、周助今日部活午後までって言ってたのにお弁当忘れてってるじゃない。」
そんなお姉ちゃんの声が聞こえ、
「遥香がお兄ちゃんに届けるよ!」
そう言って大好きな周助お兄ちゃんのお弁当を手にし、意気揚々と家を飛び出した。周助お兄ちゃん、遥香がお弁当持ってきたって知ったら喜ぶかな?なんて、頭はそればっかりだった。裕太お兄ちゃんも一緒に住んでた頃は周助お兄ちゃんと裕太お兄ちゃん、同じ位懐いていたけど、裕太お兄ちゃんが青学を転校してルドルフ学園に入り寮に入って中々会うことが出来ず、寂しさが募り最近では周助お兄ちゃんにベッタリだ。優しい笑顔を浮かべ遥香の頭を撫でてくれる周助お兄ちゃんが大好きで仕方なかった。だから、折角の休日、周助お兄ちゃんが部活に行って会えないのが寂しくて、でも、頑張る周助お兄ちゃんを応援したい気持ちもあって、そんな二つの相反する気持ちにぎゅうぎゅうに押し潰されて苦しかった。でも、今日はテニスをしてる周助お兄ちゃんに会える。そう思うと青学へと向かう足取りは妙に軽かった。