第1章 出会いは偶然。
入学式。
1年生が真新しい制服を着て、青葉城西高校の校門をくぐる。
生徒会執行部である私は、その風景を悠長に見ていることは出来なかった。
生徒会長が休んだせいで、書記の私が入学式挨拶を言うことになった。
「面倒……」
当然ながらやる気は起こらない。
副会長がやればいいのに、私がやることになった。
すごく呑気な副会長の柳琉奈(やなぎるな)先輩が、「かながやれば良くない?」って言ったから。
琉奈先輩め……と思いながら渋々と受けいれた私も悪いが。
式まであと30分。
在校生は体育館に移動する。
体育館では、綺麗なお箏の音が響いていた。
この曲は……光のしづくかな。
そんなことを考えながら、自分の椅子の場所に行った。