【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第5章 愛の溢れた、黒い太陽
「だったら、チョロ松兄さんは悪魔じゃないの?」
「僕は神だよ。」
「悪魔の兄弟を持つ、神なの?」
ゆっくりと頷き、小さく答えた。
悪魔の兄弟を持つけど神様なんて、きっと世界中を探しても僕だけなんだろうね。
僕も馬鹿だから。
十四松を見捨て、トド松を見捨て、
兄さんも、見捨てた。
皆々、空に堕ちてゆくのを黙ってみているだけ。
それでまだ、僕は生きている。
無傷で、傷もなく、綺麗に生きている。
兄弟を見捨てて生きるなんて、馬鹿でしょ?
おそ松兄さんの黒いコウモリの羽も、
十四松の灰色に染まった羽も、
トド松の羽が抜けた傷跡も。
全部、僕のせい。
「…十四松、ごめん。少しだけ、一人にさせて。」
今はどうしても、一人になりたかった。