【おそ松さん宗教松】セーチクダイ・スロラーニュ 《前編》
第7章 最初で最後の、贈り物
「ど…どうしたんですか、神父。」
普段優しい神父が、みたこともない怖い顔でさっきの参拝者を追い出していた。
教会が参拝者を追い出すなんて…
「あ、あぁ一松すまない。びっくりしただろう。」
神父が僕と目が合うと、いつもの優しい顔で僕を宥めた。
びっくりはしたけど…なんか、神父も常に優しい人ではないのだと、少し安心した。
「あ、椅子…どうぞ。」
神父は叫んでいたため疲れているのか、荒い呼吸をしている。そこで僕は神父に椅子を貸した。
神父は「ありがとう」と短く言うと、椅子に腰かけた。
「あ…僕、お茶を淹れてきます。」
疲れた時にはお茶が良いだろう。この間、健康に良い茶葉をいただいたから、すぐに淹れてこよう。
待っていて下さいと、ドアノブに手をかけた、その時。
「一松…」
名前を呼ばれた。