第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
「…したことないですね…」
思い返すようにうつむく桜。
「女の子って、そういう話好きじゃね?」
「俺もそう思ってたッス」
「他の子は話してくれるけど…私は、二人の秘密にしておきたいから、内緒、かな」
恥ずかしそうに笑う桜に、一同が愛おしそうに視線を向ける。
「まったく。俺が見込んだだけのことはあるな」
「どうりで、目が離せなくなるわけだね」
赤司と氷室がちらりと見合って不敵に笑う。
「俺だって!桜っちの魅力はずっと前から知ってたッスよ!」
「俺もだぜ!桜ちゃん!」
負けじと黄瀬と高尾が身を乗り出す。
「な、何だよ突然」
傍観者を決め込んでいた火神が周りの反応に驚く。
「俺もー桜ちんの作るお菓子好きー」
「敦、お菓子だけかい?」
氷室が困ったように笑いかける。
「んー…別に、可愛いと思うよー」
「あ、ありがとう…」
紫原に顔を覗きこまれ、驚きつつも笑顔を見せる桜。