第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
「しかし、キセキの世代勢ぞろいとは。気合入れなきゃ、かな」
優しい笑顔の中に、艶やかな瞳で桜を捕らえる氷室。
「ったく、物好きだな辰也は」
火神は呆れたという視線を氷室に向ける。
「少なくとも、大我はライバルじゃなくて良かったよ」
桜を見つめて笑顔を見せる氷室に、ため息をつく火神。
「改めてみると、確かにすごいメンバーだよね…」
それぞれに会話をする一同から離れ、緑間の隣で桜が呟く。
長身で、整った顔立ちでモデルのような集団を見回す桜。
「気にするな桜。たいした連中ではないのだよ」
ため息と共に、眼鏡を押し上げる緑間。
「いやぁ…周りの目もありますから…」
桜は肩身をすくめると、さらに一歩後ずさった。