第34章 舞い降りた天使と九人の騎士
赤司の提案で幻想的な景色を堪能した帰り道、
車内で遠慮がちに会話をしていた桜の携帯が鳴り出した。
「ごめんなさい…」
慌てて止めようとする桜だが、画面を見てため息をつく。
「どうしたのだよ」
隣に座っていた緑間が、画面を覗き込み顔をしかめる。
「誰からだい?」
二人の様子を不思議に思い、赤司が問いかける。
「黄瀬君です…」
困ったように笑う桜と、呆れたとため息をもらす緑間。
そんな二人を見て薄く笑うと、赤司は桜に手を差し出す。
「え…?」
小首をかしげる桜に、悪戯っぽく笑う赤司。
桜はハッとして、未だ鳴り止まない携帯を赤司に手渡した。