第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
「僕に逆らうのか…?」
「赤…司…!」
そう言うと赤司は桜を連れ緑間に背を向ける。
「それ以上主張するなら、この僕に勝ってみろ…勝てるものならな」
赤司は桜の携帯を緑間に投げ返す。
片手で受け取るも、壁に手をつき立ち上がる緑間。
「ふざけるな赤司…そう簡単に桜は渡さないのだよ」
「真太郎、勝者はすべてが肯定され、敗者はすべて否定される」
「真…太郎…」
赤司に強引に連れ去られる間際、桜は声を振り絞る。
振り返りざまの桜の瞳は、不安と涙を溜め込んでいた。
「…桜!」
緑間は、壁を強く殴りつけた。