第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
「なんだ、弱えーなー」
男の子はニヤリと笑うと、うずくまる桜の腰に腕を回し、軽々と抱えた。
「桜!」
アレックスが桜を助けようと男の子に駆け寄るが、身軽にかわされ首を掴まれると宙吊りにされてしまった。
そこに、氷室を探しに火神が姿を見せた。
「何やってんだ…離せよ!」
状況に驚く火神だが、助けようと声を荒げる。
「お前、さっき敦に勝った奴か…」
火神を鋭く睨みつける男の子。
「紫原を知ってる…?こいつ、いったい…」
平然と話しをする男の子に業を煮やしたアレックスは、宙吊りのまま蹴りを繰り出し逃れた。
「おー怖っ!女の蹴りじゃねーぞそれ」
男の子は、かわすついでに桜を放り投げる。
「相原!」
火神が駆け寄り桜を抱きとめる。
しかし桜は恐怖からか、体を強張らせていた。