第31章 誠凜高校温泉物語
再び男湯では。
「隣も随分賑やかだなぁ」
男湯に負けず劣らず、女湯からも賑やかな声が聞こえてくる。
「そういえば、女子大生のグループがいたな」
「なに?!」
伊月の言葉に反応した小金井は、すぐさま火神に声をかけ肩車をしてもらう。
「発進!」
「おーい、どこへだ」
「そんなの、決まってるだろ」
親指を立て良い顔で答える小金井に、呆れる伊月。
その横には、水戸部に肩車された日向の姿。
「なんで日向も発進すんだよ!」
「伊月はイーグルアイあるからいいだろ」
「そういうスキルじゃねーよー!」
能力の使い方を邪心に扱われ、憤りを感じる伊月。
「すみません、ちょっとのぼせました」
「先上がってろ」
黒子がぼんやりとし始め、伊月が先に上がるよう促す。
「しまった…覗きのスペシャリストが消えた…」
うなだれる小金井と日向。
「ミスディレクションもそういうスキルじゃねーよー」
「黒子ってそんな異名もあったのか」
伊月のつっこみに、ボケる木吉。
「あぁーもう!」
終始のつかない集団に、伊月は言葉を失った。