第21章 甘い香りに誘われて
場所を変えるべく歩き出した桜と緑間。
「そういえばさっきね、すっごく背が高くて恐い感じなのに、
お菓子が大好きっていう男の子がいたの」
ふと口を開いた桜の言葉に、緑間は怪訝な顔をした。
「後からもう一人男の子が来たんだけど、美少年でびっくりしちゃった」
その言葉に、緑間は桜をちらりと睨む。
「あ、真太郎は美少年というより、大人っぽくてかっこいい感じ?」
「…俺も十分恐い感じだろう。それよりも…いや、何でもないのだよ」
緑間は言いかけて口を閉じた。
考え込む緑間を、不思議そうに見上げる桜。
「まさかな…あいつがここにいるはずないのだよ」
小声で呟く緑間の言葉は、桜には届かなかった。
~終わり~