第20章 君の名前を呼んで…
「私…寝ちゃってた?」
桜は瞼をこすりながら小さな欠伸をした。
「あぁ…だが、少しの間だけなのだよ」
「そっか…」
「もうすぐ着きますよ」
黒子に言われ、桜は視線を外に向けた。
「わ!海だ!きれーだよ真太郎!」
桜は子供のように目を輝かせた。
しかし、はしゃぐ桜の言葉に黄瀬と高尾、黒子の三人は違和感を覚え、
一斉に緑間へと視線を向けた。
「今、桜っちが…」
「真ちゃんのこと…」
「名前で呼びましたね」
三人に視線を向けられ、緑間は居心地悪そうにそっぽを向いた。
そんなことに全く気付かない桜は、一人楽しそうに海を眺めていた。