第20章 君の名前を呼んで…
「桜っち、荷物持つッスよ!」
「お。俺も持つぜ!てか、この荷物重くね?」
高尾が、桜からさりげなく手にした荷物は、ずっしりと重かった。
「お弁当作って来たの。よかったら食べて」
「うは!マジで?!」
「やった!桜っちの手作り!」
高尾と黄瀬は、無邪気にはしゃいだ。
「桜さん、随分早起きしたんですね」
傍らにいた黒子が声をかける。
「楽しみで眠れなかったし、早く目が覚めちゃうし、ちょっと寝不足かも」
桜は、自分に呆れたという顔で笑ってみせる。
「なら、電車の中で寝ていろ。体が持たないのだよ」
「真…緑間君…」
緑間は、桜の頭をポンポンと撫でた。
「僕も肩、貸しますよ」
黒子は、桜に触れる緑間をじっと睨んだ。
「ありがとう、二人とも」
桜は、自分に触れる緑間に気を取られ、黒子の視線の意図に気づかず笑顔を見せた。