第19章 記憶のカケラ
プラネタリウムの会場に入ると、桜を真ん中にして黒子と黄瀬も席に着いた。
ほどよいリクライニングの座席に背中を預けると、空全体が見渡せる。
開演のアナウンスと共に、夏の青空は夕焼けへと変わっていく。
一番星が輝きはじめ、次第に星が増えていく。
そして、最後には天の川がくっきりと映し出された。
「わぁ…キレイ…」
吐息にも似た声で、囁く桜。
映し出された星をナレーションが説明していく。
星と星を線で結び、星座の物語が語られる。
心地よい音楽とともに流れる幻想の世界。
約一時間の上映はあっという間に過ぎていった。