第8章 どうか無いものねだりでも
「...そんな事言われたら、我慢とかできなくなるんだけど」
くちゅりとやらしい音を立てて、透の腟内から指をゆっくりひきぬく。
つうっと垂れる甘い甘い蜜が、透のそことオレの指を繋いでキラキラと光る。
ひくりひくりと物欲しそうに収縮していて、赤く咲いた花が溢れんばかりに蜜をこぼしてオレを誘う。
にたりと1つ笑みを浮かべつつ、濡れた指先を口に含めば透の味が口の中に広がる。
普通にしょっぱい蜜、それなのにとても甘く感じるのは、オレのその行動を食入いるように透が見てるせいだろう。
指の根元まで垂れていく蜜を愛しそう舐めれば、ますます透は目を潤ませる。
違うよね、そうだよね。
わかってる。
オレも自分の指だけじゃ足らない。
直接透の蜜の中に溺れたい。
無いものねだりなんてしなけりゃいいのに...。
そういった子どもの頃の自分を思い出す。
あの頃は本当に子どもで、無くても欲しいものなんてなくてだからそんな事が言えたんだと思う。
「煽ったりんが悪いから、痛くても我慢してね」
けれど、透と出会ったせいでオレはどうしても欲しいものができた。
例えこの行為に明日がなかったとしても...。
ピリッと避妊具の袋を口で破る。
ほんの少しだけ口についたゴムの味が苦くて、現実に戻りそうになった。
欲しい。
どうしても欲しい。
どうしようもなく透が欲しい。
無いものをねだるなんて愚かだ。
きっとそう。
ピタリと透の入口に自分の欲を擦り付ける。
「うっ...はあっん」
ゆっくりゆっくり、確実に透の腟内に沈んで溺れていく。
腰がぶるっと震え、透の全部に包まれてると思えば思うほど胸が苦しくて辛くなった。