白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
私の声に
「狙われた所で
逃げ切れる自信あるんで~
スキ見つけるのは
今でも得意なんだよ
なんせ、元音駒なもんで」
からかいがちに
笑った後
「オマエはスキ見せんなよ
逃げるのヘタクソなんだからな
俺はもう…助けてやれねぇから」
真面目なトーンで言い放ち
私の目を見つめる
それは
なんともアッサリした
決別の言葉
"クロにスキを見せたら
どうなるの?"なんて
戯ける余裕すらない程
軋んで痛んで
苦しくなる心臓
「姫凪…」
『…心配ありがと
ごめん、お手洗い行ってくるね
ついでにコーヒー入れてくる』
今にも溢れ落ちそうな
涙を堪え
部屋を出てトイレへ駆け込む
お見合いして
結婚して
私の知ってるクロが居なくなる
私もクロの中から
居なくなる
そんなの、嫌、だ!
鏡の中
必死に作った
いつも通りの顔を睨みつけ
まだ誰も来てない事を願って
部屋に戻る
最悪赤葦さんなら
居ても察してくれそうだし
会議室へ呼び出す事も
出来るだろう