白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
二人黙ったまま
タクシーに乗り込み
「…部屋までは送らないよ?」
『…ありがとうございます
及川さん』
私のマンションの前
「そこは"上がってお茶でも"じゃないの?
冷たいね、さっきはあんなに
可愛かったのにさ!」
『…』
「…ウソだよ!バーカバーカ!
俺も責任持てなくなるし
上がり込むつもりはないから
そんな怖い顔しないでよ、ね?」
責任持てなくなるなんて
もう思ってないはずなのに
わざと明るく笑って
「ほら、笑いなよ
暗い顔してちゃ
及川さんの時間が
無駄になっちゃうよ?」
私の頭を優しく撫でる
『…今度、チャント御礼します…
あの…及川さん…』
「期待してる
オヤスミ、姫凪ちゃん」
『おやすみなさい』
何度も頑張れと
目で訴えて
タクシーで消えていく姿を見送り
大きく吐いた白い息
クロは今どこに居るのかな?
電話しても良いかな?
今、凄く…声が聞きたい