第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

『ちょっと二人とも…』

二人はチームで
これからイッパイ大きな仕事があるのに
私のせいで
仲悪くなるとか
絶対あっちゃ駄目なのに！

『あの、止めよ？
及川さん落ち着いて、ね？』

二人の間に入り
クロから及川さんを
引き離す様に押し返しながら

『（チャントするから
喧嘩しないで下さい…）』

小さく胸に声を落とす

トキメイた事なんか
忘れてしまわないと

希望なんか持っちゃイケナイ…
私達は終わったんだから。

前に進むって約束も
忘れちゃイケナイ。

言い聞かせる様に
何度も頭の中で繰り返し
及川さんを押し返す

そんな私の肩を
数回軽く叩き

「ハハッ…そんな顔しなくても
二人とも本気じゃないよ
ただの戯れ合いだから
心配しなくて良いよ、姫凪ちゃん
クロちゃんもごめんね？
からかい過ぎた」

ニコリとクロに笑い掛ける
及川さんは笑顔だけど

「…チッ、便所行ってくる」

クロの顔は
相変わらず眉間にシワが寄って
不機嫌って言葉がピッタリ