白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
どういう流れで
二人でタクシーなんか乗って
帰って来たのかは分からない
でも二人が一緒に居たのは確かで
『…今度、チャント御礼します…
あの…及川さん…』
「期待してる
オヤスミ、姫凪ちゃん」
俺が触れるだけで
ビクビクしてた姫凪が
『おやすみなさい』
及川くんに触れられても
普通に笑ってるのも確かだ
ここで出て行って
問い詰める事も出来るけど
それをしたら
多分昼間みたいに止まれない
足で冷えた地面を踏み付けて
必死に耐える
幸せを願わないと
幸せに出来ないなら…
幸せにしたい、俺が…
タクシーの去って行く音
コツコツと遠くなる足音
「姫凪…!」
堪らず張ってしまった声は
届かないまま背中は見えなくなってた
最後まで届かないのか…
すれ違ったままで終わるのか…
溜め息より先に落ちた涙が
地面に吸い込まれる
涙と一緒に想いも流れてくれたら
良いのに、なんて
バカな事を思っては
ユックリ進める足
サヨナラ、も
まだ好き、も
何も言えないまんま
諦めだけが
俺を占拠した