白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
まだ好きなんだよ
まだ誰も姫凪を
幸せにしてないなら
俺にだってまだ…とか
思って悪いか、コンチクショウめ。
「あかーしくんに
睨み殺される前に片付けなよ
俺は巻き添えゴメンだからね」
「ゲッ…」
「黒尾さん。
布施さんの用意した
資料を無駄にしないように
サッサと進めて下さいね?」
全く、落ち込む暇もねぇやなァ…
「スマン、切り替える」
大きく深呼吸して
山積みになった仕事を
コツコツ片すうちに
あっという間に昼休み
「研磨の所行ってくる」
「はーい。
孤爪チャンによろしくねー」
こんなに時間はアッサリ過ぎていくのに
『行ってらっしゃい』
「…うん、いってきます」
想いは全然アッサリ
スッキリしねぇんだよ
でもそれは…俺だけなのかな
一瞬見つめ合った目は
薄い笑顔と共に逸らされて
向けられる背中は
自分の席にスタスタ
進んで行く
姫凪は俺に未練は
ないんだろうか
一人の夜に恋しくなったり
声を聞きたくなったり…とかは?