白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
「そうか、良かった」
『イヤじゃない?
その…私が、居ても…』
こんなの聞かない方が
楽なのに
「当たり前ですぅ!
てゆっか姫凪が
居なかったみたいになる方が
辛いっての!
姫凪…
また明日な?
俺が言うなって感じだけど
チャント寝ろよ?
泣くな…よ」
アナタのその言葉を
優しい声を最後の最後まで
求めてしまうなんて
本当に身勝手なんだから。
『鉄朗…クロも、ね?』
咄嗟に言い直した呼び名に
一瞬鉄朗…クロの
目元が涙で光り
『あ、あの…!』
「もうゴメンは要りません~!
変わんねぇよ
明日も明後日も
俺は笑ってる
お前が笑うなら
笑ってる
だから…謝んな
お前は悪くない
…またな。
また明日…会おう、な?」
ユックリ背中が遠ざかる
笑えなくても
笑わなきゃ
自分で決めた事だ
泣いてる暇なんかない
クロの涙が
もう私の為なんかに
流れない様に
笑わなきゃ。
ゴシゴシと乱暴に擦った目元は
次の日酷く腫れて
重い足取りを
更に重くしたけど
私は歩いた
新しい日常を
営む為に。
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