白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
怖気づくな
チャント話して
チャント…ケジメを付けないと
座る位置を少しずらし
隣を空けると
ギシリとスプリングを軋ませ
鉄朗の香りが近くなる
「…さっきはゴメン。
怖かった…よな?
身体、大丈夫か?」
大きな手のひらが
私の肩を包んで引き寄せる
より強くなる鉄朗の香り
『アレは…私が…』
「オマエは悪くねぇって」
瞳の中イッパイの鉄朗の
悲しい笑み
あたまいっぱに気持ちは溢れてるのに
唇に乗らない言葉達が憎い
だから…
「なに連れ込まれてんですかァ?
お菓子あげるからって
言われましたかァ?
とりあえず!
オイカーくんに明日お説教しねぇとな!
しばらく昼飯奢らせっか?
それとも豪華な晩飯でも
奢って貰おうか?
姫凪はどっちが良い?」
鉄朗がまた苦しんでしまう
必死に笑いに変えようと
唇を動かす姿に
胸がギュウギュウ締め付けられる
『…ごめん、鉄朗…
私…及川さんと…』
やっと出た言葉も
途切れ途切れで
力なく零れ落ちるだけ