白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
サッサと帰らないから
「え?何してるの
姫凪…ちゃん」
また出逢ってしまうんじゃない。
「泣いてるの?」
『及川さんに関係ない…』
背中を向けては必死に
冷たく言ってみるけど
「…俺のせい、だよね」
切ない声に胸がドキンと鳴る
『…関係ないですってば』
「俺が無理矢理あんな事して
クロちゃんを煽ったから
こんなボロボロになるまで
イジメられたんだろ?
ごめんね?」
背けた背中を抱き寄せる及川さん
『いや…!離し…て…!』
「嫌だね。
泣いてるのキミを
抱き締めない選択肢は
俺にはないよ」
『そんな…勝手な、事…』
「…でも、声だけで
抵抗しないじゃん」
そんなわけない
『止めて…下さい!』
私はチャント抵抗…してる
「動いてるのは口だけだよ
心臓の音も
息遣いも
落ち着いて来てるじゃん
…姫凪、無理しないで
俺に寄り掛かって来なよ…ね?」
私はまだ夢の中にいるの?
暖められた背中が
心地よいなんて
ウソだよね?