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白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18

第5章 歪みに飲まれる愛


『…うん、辞め…ないよ』

「そうか、良かった」

『イヤじゃない?
その…私が、居ても…』

「当たり前ですぅ!
てゆっか姫凪が
居なかったみたいになる方が
辛いっての!
…姫凪…」

伸ばした手に震える身体が
胸を締め付ける
もう抱き締めちゃダメなのか?

オマエを抱いた記憶は
泣かせたあの時間が
最後になってしまうのか?

抱かなければ良かった?
あの時、死に物狂いで
上書きするのを我慢してたら

全てを受け入れ許してたら

この手はまだ
オマエを抱いていたかな?

「…また明日な?
俺が言うなって感じだけど
チャント寝ろよ?
泣くな…よ」

オヤスミと告げて
出た部屋
帰さなきゃ良かったと
煩い二人が
ヤケに恋しくなる

「…この年の失恋辛過ぎ」 

暗い道に虚しく響いた声は
誰にも届かず
空に消えた

あの時ミスった選択が
この後、もっと辛い現実に繋がるとは
まだ知らず

明日からは笑おう、と
冷えた地面を踏みしめた 
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