白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
でも、俺には
『…止めてよ
今日また家に行く、から…
お願い…黒尾さん』
「分かった。
ごめんな、姫凪ちゃん
コーヒー自分のは持って行く」
お前の心が伝わらないよ
名前だけでも呼んでくれると
思ってたんだけどな
いつも通りに紛れ込む違和感が
気になり出したのは
この時からだったかもしれない。
テンションは上がらなくても
仕事が減るわけでもないし
やる事しかないから
片翼のオイカーくんが
東京に来る日が
近くなればと思ってしまう程
忙しいわけで…
でも
「黒尾~
飯行かないか?
朝の話の続きもしたいし」
「あぁ、はい。
付き合います」
「及川の件だが
本格的に向こうに打診しようと
思っててな
上からのゴーサインも出たし」
実際に話が纏まろうとしてると
聞くと
「…じゃあ、後は本人次第って事ですね」
ヤッパリ少しモヤモヤしてしまう
オカシイよな
仕事はやりやすい
能力も社交性も
実行力も申し分ない
むしろ俺より出来る気さえするのにな。