第4章 消せない昔、消えない今（後）

そのおかげか
私の様子に敏感な鉄朗でさえ

「無駄にイケメンなキミは
うちの姫凪に
優しくしないでクダサイ
てか、オイカーくん
俺が知らねぇ所で
姫凪をイジメてたんじゃねぇの？
姫凪大丈夫かァ？」

私の頭のこんがらがった
思考回路に気付いていない

「オイカークンに
小せぇ乳でも弄られたんだろ？
オッパイの事言うと
俺もスゲェ睨まれるからなー！
小せぇモンは小せぇのに、なぁ姫凪？」

「木兎！またお前は！！
ガチで説教すんぞ！」

それどころか相変わらずの木兎さんの
セクハラ発言にスポットが当たって
私と及川さんは
シレッとワチャワチャした
空間に溶け込んで
空気みたいになってしまった

ホッとして及川さんを見上げると

「（そんなに見つめるの禁止。
これでも必死に絡むの我慢してるから）」

クスリと私に笑みを零しながら
低く甘い声で耳打つ

『お、及川さん！？』

「シーッ。
だからそんな顔するなって
俺の我慢を無駄にしないでよ
…なんてね？
ゴメンゴメン、冗談だよ」