白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
孤爪チャンの家は
広い昔ながらの一軒家
「ここに住んでるわけ?
メッチャ儲かってんの?」
俺より年下で戸建て持ちとか
何気にショック
「別に、普通。
借家だし
ただ広いけど古いから不便な所は
勝手に手を入れて良いって
言われたから借りた
飽きたら他の所探せばい良いから
楽だって思ったけど
結構気に入ってるよ
なにかと理由つけて
リエーフとか木兎サンとか
集まってくるのがウザいけど」
それでもこの広さに一人って…
こちとら岩ちゃんと
ルームシェアなのに…
「お茶とかは適当に自分で淹れてね
適当に揃ってるから」
充実し過ぎてる居間に通され
セルフサービスでお茶をいれ
ジャレついて来る猫の相手をしながら
「で?昔話ってなにさ?」
話を切り出す
「…うん。
えっと二人が付き合う前の事は
知ってる?」
「…クロちゃんの前に彼氏が居たけど
上手く行かなかったのは
なんとなく?」
「なら、その後からだね
ぶっちゃけ元カレは【ゲス】って以外
おれはコメントないし。
じゃあ…まぁ、長くなるけど…」
そう言って熱いお茶を喉に落とし
語ったのは
二人がくっつくまでの
長くて切ない道のりだった