白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
どれだけ思い返しても
昨日私を抱いたのは鉄朗で
部屋の香りもベットの感覚も
鉄朗のものなのに
隣に居るのは鉄朗じゃないって
どういう事なの?
この声の主は誰?
「ナナ…頭痛い…
癒やしてよ、身体で…」
耳を済まして記憶にある声を
探って探って…
「及川さんのお願い
聞いてくれないのかな?」
本人から零れた名前と声が
一致した
『え…』
及川…さん?
声の主が判明した途端
一気に繋がったアレコレ
そうだ
鉄朗の部屋に鉄朗が居ないのは当然だ
昨日愛し合ったのは
一緒に眠りに落ちたのは
ココじゃないんだから。
早く言わないと
"寝惚けて間違えました"って!
バクバクする心臓を抑えながら
大きく息を吸い込み
頭の中で組み立てた言葉を
吐き出そうとした口が
「"え"じゃない。
癒やして…反論は却下…
シーッだよ?岩ちゃんが起きちゃうからさ」
大きな手で塞がれ
迷う事なく指がボタンを外して行く