白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
秘密はナシって
話した直後だし
ウソついたわけだし…
『それは…仕方なかった…んでしょ?』
って、違うのか!?
じゃあ…
『…ホントにハナさんの事
気になったりしなかった?
その…綺麗じゃん、凄く。
素直だ、し…
出会いも何か
運命的だし、さ…』
やっぱり拗ねてるのか?
いや…
そこまで簡単でもないか。
信号で止まったのを確認して
姫凪が俺の手を握って
『…ごめん…ね
自分のこと棚にあげて
こんな事言うの
嫌な子だって思う…けど
鉄朗の事…好き過ぎて…
全部不安になっちゃって…
納得して全部消化したつもりだったのに
またこみ上げて来ちゃって…
ゴメン…シツコイ、よね』
ポタポタと涙を流す
"嫌わないで"とでも言いたげに
俺にしがみつき
微かに肩を震わせる
信号が変わり
後ろから小さく
鳴らされるクラクション
「…姫凪、大丈夫。
あと少しだけ時間くれ。
あと少しで全部終わる
そしたら思いっきり
身体に刻むから
…オマエしか見えないって」