白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
驚いて固まる俺に
『あの…色々
ありがとうございました…
詳しくは分からない、けど
私の為に色々してくれたのは
分かる、ので…』
残酷な程
綺麗な笑顔で笑いかけてくる
ヤメテヨ、本当に。
「なんの事?
俺は俺の為に動いただけだよ
勘違いしないでよね
サッサと行きなよ
俺が明日クロちゃんに
虐められるじゃん」
素っ気なく向けた背中は
溢れそうな涙が
バレない様に
『は、はい…
じゃあ、また明日…』
一番綺麗な君を
俺に刻みつけない様に
「うん、じゃあね」
明日はまた普通に
笑える様に、だから
早く行きなよ
俺が君を行かせるのは
きっとこれが最後
まぁ、君が俺の心を
捉える距離に来るのも
コレが最後なんだけどさ。
二人が離れて行く
足音を確認して
「じゃあ、俺はこれで」
残った二人に手を上げて
その場を離れた
やっと泣ける
もういいよね
我慢しなくても。
一人になった事を確認して
想いごと流れて行けと願いながら
声を殺して俺は泣いた
サヨナラを噛み締めながら。