第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

心臓がバクバクして
今にも止まりそうな俺の前で

「大通りの方に行った
追いかけようとしたら
及川サンが来て…
追いかけられなかった」

「ちょっと、俺だけが悪いみたいな
言い方だけどさー
俺が来たのは
孤爪ちゃんが姫凪ちゃんを
行かせた後だし！
引き止められなかったキミにも
非はあると思うんだよね、及川さんは！」

「すぐ追い掛けてたら
絶対捕まえられたし
ねぇ？クロ
おれより及川サンのが
悪いよねー？」

「そんな事ないよ、ね！クロちゃん！
だって俺はクロちゃんの味方だし！」

「は？そんなのおれの方が…」
「いや俺…」

二人が始める小競り合い

「だぁあ！うっせぇ！
小競り合いは他所でやれ！！
とりあえず俺には三時間しか
猶予はねぇの！
クソ…！携帯出ねぇし…
家に帰ってっかな…
それとも…どっか行ったのか？
どう思う？」

まだ睨み合う二人に視線を向けた
藁にもすがる気持ちだった。