第12章 にゃんことわんこ
「!今日楽しかったー?」
家まで送ってくれるらしい二人と一緒に、夕暮れの道を歩く。
「う、うん、まぁ…」
結局空き地で猫と戯れてただけですがね。新鮮だったって意味ではそれなりに楽しめたかしら。
「本当!よかったー!」
「でもなんでまた急に?」
「うーん、君が落ち込んでるんじゃないかと思ったから!後ね、女の子はみんな可愛いものが好きだってトド松が言ってたから、仲直りのしるし!」
「…!」
彼の言葉に思わず感心してしまった。何も考えてないようで、一応人並みの感性は備えているのね。さすがにそんなこと面と向かっては言えないけれど。
まぁ…なんだかほっとしたわ。
「…おい、歩くの遅すぎ。日が暮れる」
だいぶ先を歩く一松が、少し振り返って私たちを見る。
一松は…相変わらずよく分からない部分が多いわね。キャラがブレブレで定まらないというか。
優しくしてくれたと思ったらからかってきたり、キツい言い方をするわりには押しに弱くてすぐ照れたり…
そういう気まぐれなところ、まんま猫みたいだわ。
「あはは!一松兄さんはせっかちだなぁ。大丈夫、無理に急がなくてもいいからね!」「う、うん」
対して十四松は犬みたいね。隙あらば抱きついてくるし笑顔で擦り寄ってくるし…か、可愛いから許すけど。
無理はしないけど、あまりゆっくりしてても一松の機嫌を損ねかねない。私はスピードを速めようとして…
ぎゅっ「わ…っ」
そこで突然、後ろから十四松に抱き締められた。
「じゅ、十四松?なにして…」
「。…一松兄さんには気をつけたほうがいいよ」
いつもの彼らしくない低い声で、そっと耳打ちされる。
「///ど、どういう…」
「そのままの意味だよ。油断してると、君なんてすぐ食べられちゃうから…覚悟がないなら、二人きりにならないことだね」
「!」
彼の体が離れる。呆然としている私の手を取り、彼は笑った。
「走ろう、!一松兄さんに置いてかれちゃうよ!」
引っ張られるがままに走りながら、考え直す。
…やっぱり、彼もよく分からない。