第36章 35 Melody.
(ふぅ……疲れたな……)
その日の晩。
クタクタになった足を伸ばしながら、買った服が入ってる紙袋を眺める私。
どんなのだったっけって中から取り出してみると……やはりかなりのザックリ感で、着てもないのに照れてしまう。
(ていうか下買ってな––––)
「っ?!」
今あるパンツで合わせるしかないか……なんて思っていたまさにその時。
突如鳴り響いた着信音に驚いて、私は思いきり身体を跳ねさせた。
見てみると相手は天。
仕事、終わったのだろうか。
(びっくりした……)
「も、もしも––––」
「どういうつもり」
「……え?」
(なんで怒ってるの……?!)
「ラビチャ、見てないでしょう」
(あ……)
今日は1日行動していたから、スマホを全然触っていなかった。
慌ててラビチャを確認すると……
【今移動中。】
【今日はオフでしょう?予定は?】
【……既読つかない。】
【。】
【……いい加減見なよ。】
【連絡して。】
と、何通ものメッセージが届いていて冷や汗をかく。
買い物行くって天には言ってなかったし、何より大量のメッセージを全て無視していた事に申し訳なく感じた。
「ご、ごめん……!今日忙しくて……」
「確認すら出来ないくらい忙しいものって何」
「そ、それは……」
「……答えて」
(うっ……別にやましい事じゃないのに言いにくいのはなんでだろう……っ)
陸達と買い物してたんだ。
そう言えばいいだけなのに……何故か私は言葉に詰まる。
えっと……。
今日は……その……。
多分天が不機嫌だから、なかなか言い出せないだけなんだろうけど……
彼ってば急に弱々しい声でこう呟いてきたんだ。
「……キミから連絡がなくて」
〝心配した……〟
◆35 Melody.END◆