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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第12章 11 Melody.




「落ち着いた?」

「うん……」

「……そう」



……信じてみよう、受け止めるって言ってくれたこと。


本当は怖くて怖くてたまらないけど……あれだけ取り乱してしまってはもう誤魔化せない。


覚悟を決めよう……。



「天……」

「……何?」

「6年前……私いきなり消えたでしょ……?その訳がこれなの……」

「……どういう事」

「あの日私はちゃんと向かってた……天の家に向かってたっ……でもその途中で……私っ……」

「……何があったの」

「私っ……知らない男に身体をっ……いじられた……っ」

「……!」

「いきなり連れて行かれてキスされてっ……首も舐められたし……手に出されたりしたっ……。そんな事されてっ……あなた達に会いに行けるわけなかった……!!」



〝ああ……キミを見てるだけで勃っちゃったよ……ほら、触ってごらん……〟

〝興奮するよ……〟


幻聴が聞こえてくる。
耳を塞いでも、頭の中で繰り返し響いてくるから辛い。


倒れそう。



「だから私は逃げたのっ……汚れたままの自分じゃ会えなかったからっ……」

「……」

「ごめんなさいっ……2人の事嫌いになったからじゃないのっ……本当はずっと……っ」

「おい天!!探したぞ!!」

「楽……龍……」

「そろそろ移動しないと……!行こう!」



本当はずっと会いたかった……。


そう伝えたかったのに……天は私に背を向ける。


次の仕事を優先するのは当たり前だけど……なんだか寂しくてたまらない。



「天っ……!」
(待って……っ)

「……」

「天……っ」



この時……私はわかってしまった。
置いていかれる側の気持ちを。


天もこんなに苦しかった……?


そう思うと胸が痛くなる。
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



「ごめんなさいっ……」



折角天が止めてくれた涙が……また頬を濡らしていく……。



◆11 Melody.END◆
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