第12章 11 Melody.
「ハァ……ハァ……っ」
少しでも天から離れたくて局内を走る私。
こんな事絶対やっちゃいけない。
戻って頭を下げなきゃ。
そうわかってはいても……足は前に進み続ける。
(どこかっ……部屋に入れたら……っ)
「きゃっ……!」
「おいおいこんな所走らないでくれよ」
(男性スタッフ……っ)
「す……すみませっ……」
「震えて謝るくらいなら最初から走るなっての。ったく……次からは気をつけろよ」
「は……い……っ」
(息が出来ないっ……早くどこかに……っ)
男性スタッフとぶつかって激しく乱れる呼吸。
まるで過呼吸みたいに苦しい。
おまけに涙がボロボロと流れ落ちてくるから余計息が出来なくなる。
こんなところ誰かに見られたら大変だ。
「ハ、ハッ……ハァ、ハァッ……」
(この部屋誰もいないっ……)
「さん!!」
「ハァッ……ハッ、ハァ……ッ」
(天の声が聞こえる……っ)
「すみません、この辺りにさんが来ませんでしたか?」
「?あーさっきぶつかってきたんだよー。全く……機材運んでたらどうしてくれるんだっての」
「どっちへ行ったかわかりますか」
「ハァ……ハァッ……」
(ダメっ……教えないで……っ)
「そこの部屋に入ってったみたいだけど。まあそこは普段使わないからまだいいけどねー……他の部屋にも勝手に入ってもらっちゃ困るなー」
「……ありがとうございます」
「ハァッ……ハ、ハァ……ッ」
(嫌っ……お願いドアを開けないで……っ)