第2章 後編
――訊かなきゃよかった。
瞬時に後悔する。
でも今更止まれない。
「あ、そうなんだ! え……もしかして、もう付き合ったりしてるの!?」
心の動揺を悟られたくなくて、わざと明るく振舞うユメ。
「まだ、付き合ってはいない」
「あ……そう、なの?」
「でも、付き合いたいとは思ってる」
「ト……トランクスの彼女になれる人って幸せだね! どんな人だろ、きっとキレイな人なんだろうなぁ~」
口が止まらない。
今言葉を止めたら、……少しでも会話が途切れたら、
――涙がこぼれてしまいそうだった……。
「うまくいったら紹介してよね! ――お、幼なじみなんだしさっ」
自分で言った言葉が、重く胸にのしかかる。
痛いよ。
……いやだよ。
彼女なんて、作らないで……!
ただの幼なじみなんて、イヤだよ……!!
「ユメは? オレに紹介してくれないの?」
「私のことはいいの! ただの……片思いだし! それよりトランクスは告白しないの? ……そのコにさ!」
「したいんだけど、迷惑かなって……」
「何言ってるの! トランクスに告白されて迷惑するコなんていないって!」
「……そうかな」
「うん、そうだよ!」
「じゃぁ、……告白しようかな」
……ばか!
その気にさせてどうするの……!?
そう思っても勝手に、“がんばって!” なんて逆の言葉が出てきてしまう。
もうイヤ!
ばかみたい……。
幼なじみなんて、好きにならなきゃ良かった……。
……もう、帰りたい。
――と、トランクスが小さく息を吸った。
「ユメ」
「ん?」
「好きだよ」
………………?
思考が停止する。
トランクスが、真剣な、でも少し照れたような表情でこちらを見ている。
そして、もう一度、
「オレは、ユメが好きだ」
と言った。
……そう、聞こえた。