第73章 エンドロールをぶっとばせII〔ジャッカル桑原〕*
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ベッドにたどり着いた途端に落ちてきた、溺れてしまいそうなくらいにがむしゃらなキスの間に、ジャッカルは履いていたジーンズを器用に脱ぎ捨てた。
呼吸を整えつつちらりと視線を遣ると、ぴったりとした下着が彼の興奮のシルエットをはっきりと拾っているのが見えた。
「…さっきからずっとこんなだ」
ジャッカルが「ガキみてえ」と苦笑しながら、少し恥ずかしそうに下着を取る。
はずみで下腹を打つほど反り返った大きな雄は、それ自体が意志を持っているのかと見紛うくらいに、ぴくりぴくりと揺れた。
私が彼をこうしているのだと思うと、それだけで何かがこぼれてきてしまいそうになる。
先端が少し湿ったそれに指でそっと触れながら「もう我慢できない」と告げると、ジャッカルは少し驚いたように「いいのか?」と言った。
何かと挿入を急ぐ男たちとは違う、彼の優しさを垣間見たようで嬉しい反面、触れられてもいないのにぐずぐずに溶かされてしまっている自分が恥ずかしい。
目を伏せながら頷くと、ジャッカルは「わかった」と私の髪を撫でて、枕元に手を伸ばした。
「…昨日さ」
正方形のパッケージを破りながら、ジャッカルがおもむろに口を開く。
「お前寝ちまったあと、俺シャワーしたんだけどさ」
「…うん」
ラテックスを着けつつの言葉とはいえ、続きを妙に言い淀むのを不思議に思って視線で問うと、返ってきたのはとんでもない言葉だった。
「想像してたより全然かわいかったよなって思ったらマジで止まんなくなって…その、風呂場で一人で抜いた」
「……っ、ジャッカルのすけべ」
額をはたくと、ぺちんといい音がした。
いて、と叩かれたところに手をやるジャッカルを軽く睨む。
「すけべじゃねえ男なんていねえっつの」
「そうかもしれないけど…!」
「悪いけど、昨日だけの話じゃねえよ。何度も想像した。どんな顔すんだろうなって」