第6章 晴れやかな日々
『ジェネシスグループ倒産寸前!! 百夜取締役、人身売買の疑い』
ココ最近、このニュースで世間は持ち切りだった。なにせ、大企業の社長が人身売買の容疑がかかったからだ。元ジェネシスグループ社員の話によると、〇月✕日、昼過ぎ頃のこと。1人の刑事が訪ねてきたことから事件は発覚し始めたのだという。その敏腕刑事は……。
そう。話に出てくる敏腕刑事とはまさにここでゴロゴロしている後藤のことだ。もちろん伊月の話は1回もでてきていない。
「結局、お前は会社自体を潰す気だったのか」
後藤はテレビのチャンネルを変えながら言った。伊月は頷いた。
「なんのためにあれだけ我慢したと思っているんですか。あぁ、気持ち悪いったらありゃしませんよ。毎日毎日呼び出されてはヤって、連れ出されてはヤって。更には色々なプレイもさせられるんですからたまったものじゃないですよ。悪趣味にもほどがありました………どうしました?」
伊月は言葉をきり、後藤の顔をのぞき込んだ。言わずもがな後藤はぶすっと不機嫌そうな顔をしていた。
「………悔いているんですか?」
「……………」
図星をつかれたようで、そっぽを向く後藤。後藤は早めに気づいて挙げられなかったことに今更ながら後悔していたのだ。だが、伊月はそれを違う解釈をした。
「なるほど。百夜さんに先をこされてしまって、そこまで悔しいですか…。だったら、あなたはそれ以上のことをすればいいのですよ」
「は?」
後藤はすっとんきょうな声を出した。全く意味が分かっていないようだ。
「仕方ありませんね。私も人肌脱ぎましょう。さぁ!後藤さん!!」
伊月は頭に?を浮かべる後藤をベッドに押し倒しながら微笑んだ。なれた手つきで服を脱がしながら、
「ちょうど明日からは後藤さんの休暇です。思う存分にやれますね。」
と頬にキスを落とした伊月だった。