第1章 春
「それでは、いってきます。」
そう言って玄関から出たのは、今年高校生になる本宮伊月。背が周りの人と比べてものすごく小さく、見た目小学生。その容姿は整っており、大変可愛らしい。
季節は春。これから高校生になる伊月は、入学式に余裕で間に合う時間帯に家を出て、ゆったりと歩いている。ちなみに、伊月が住んでいるのは一人暮らし専用のマンション。とは言っても、高校生の伊月が一人暮らしをしてるわけもない。
「おい、送っていってやろうか?」
伊月に声をかける男がひとり。背は175くらいで、その容貌はまるで熊を想像させる。肌着にパンツとその姿はだらしなく、手は頭を掻いている。そう、この男が伊月と一緒に住んでいる。名前は後藤孝輔という。
「いえ、大丈夫ですよ。後藤さん。昨日も遅かったのでしょう?」
まるで、美女と熊なこの二人。実は付き合っている。その年の差12歳。
さてさて、この二人はどうなるのか。