第7章 最初の演技とネコの店
「今日のお客さん、可愛いね…」
『えっ…/////』
「ほぉ、研磨が女の子を褒めるなんて珍しい」
海さんが猫耳フードの彼を見ながら言う
猫耳フードの彼は軽くニコッとしてもう一度あたしを見た
「うん、なんかクロが好きそうなタイプ」
と言った
研磨ッ!!と黒尾さんが小さく叱っていた
黒尾さんを見ると、顔を真っ赤にして猫耳フードさんとあたしに聞こえない声でなにか話していた
「さっすが夜琉ちゃん、売りやってるだけあって男を誘惑するのうまいね〜。」
『別に誘惑なんてしてません!!』
また及川さんだ
ニヤニヤとあたしをバカにするけど、ふと黒尾さんを見たその目はなんか怖かった
「…おし、LI〇E入ったぜ」
『ありがとうございます。』
黒尾さんのLI〇Eを入れてもらいスマホを返された
「よし、じゃあ夜琉ちゃん明日も学校だから帰ろうか」
『あっ、はいッ!!』
と、いつの間にかシルバーブレッドとカルボナーラを空にしていた及川さんは席を立ってGから始まるブランド品の財布を手にしていた。俺が奢るね☆というウインク付きで・・・
「夜琉。」
あたしを呼んだのは黒尾さん
すっかり小娘とか呼ばなくなった。なんか、あたしと連絡先を交換してから黒尾さんの雰囲気が優しくなった気がする
「…いつでも連絡してきていいぞ」
『えっ…はい、ありがとうございます』
「…また来いよ」
やっぱり明らかに違う
あたしは、その差に違和感を覚えつつも黒尾さん海さん、猫耳フードの彼・・・孤爪さんに頭を下げて店を出た
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「…クロ、顔気持ち悪い」
「そんなに嬉しかったのか?彼女のアドレスを貰えて」
「いや、嬉しいなんてもんじゃねぇよ…これは…」
――――――――――奇跡だよ