第36章 決戦
どんどん意識が遠退いて行く感じがした。
足を伸ばすのももう限界だし・・・
「…おい」
突然影山さんがあたしに小さな声で話しかけてきた
でも、手の力は緩めることはないかった
「・・・落とすぞ」
『…ッ!!できれ、ば…予告ッ…しないでほ、…しかったで…』
「いいから……」
・・・―――――――。
『えっ・・・』
影山さんがあたしでもギリギリ聞こえるくらいの声で言った言葉。その意味が分からないまま、影山さんの手はあたしの首を離した。
空を飛ぶ感覚・・・違う、小さい時初めて乗ったフリーフォールの感じだ
自分の身体が空から離れて行くのが分かる。
でも、なぜかあたしはいたって冷静だった。
遠退いて行く空を見る余裕があったから。こういう時ってあるよね。よくわからない自信ってやつ・・・
そんな余裕の時に、目に止まったのは・・・1羽のカラスだった
たった1羽で飛んでるカラスが、近くを飛んでいたカラスの群れの中に入って行った
なんだか、その光景にちょっと感動を覚えた。
よかったね・・・みたいな、そんな感じ
黒尾さんが叫んでる・・・
「夜琉!!」って・・・
でもあたしは、そこで目を閉じた
不思議な安心感に包まれながら・・・