第36章 決戦
『黒尾さ~ん、できてますか?』
「あぁ、とっくにな。俺食い終わったから早く食っちまえ」
シャワーを浴び終えてリビングに戻ったら、黒尾さんはソファに座ってコーヒーを飲んでいた。何かの資料を見ながら・・・
『わーい♪黒尾さんメープルないんですか?』
「ない、俺は完全はちみつ派だ。あと、メープル使うと太るぞ?研磨が言ってたぞ?」
『…そーですか』
研磨さんが言うなら仕方ないな・・・と思いながら置いてあったはちみつのボトルを掴んだ。フワフワしたホットケーキにはちみつを垂らして、5枚重ねたまま一口サイズに切って口に運ぶ
『うう~ん、やっぱりおいひ~♡』
1人でホワワ~ンとしながらホットケーキを食べていたら、黒尾さんがマグカップを置いた音がした。
「んじゃ俺仕事行くわ」
『はーい…ん?』
待て待てあたし、何か大事なこと忘れてね?
そうだよ!!今日のこと言わないとだよ!!
『あのッ、黒尾さん』
「ん?」
ソファにかかっていたジャケットを手に今にもリビングを出そうな黒尾さんを呼び止めた。
でも、いざ言おうとするとなかなか言えないものだ
『あの…、その、…今日…』
「ん?…なんだよ」
『あの、今日なんですけど…』
及川さんに会ってきます。なんでその一言が言えないんだろうか・・・
「・・・。」
黒尾さんが何かを思ったのか、あたしに近づいてきてなぜかあたしの頭に手を置いた。
「今日は、早く帰ってきてほしいのか?」
違います!!あたしが帰って来れないかもですよ!!
すると、黒尾さんがあたしのおでこにチュッとキスをした。
「…全部終わったら、ちゃんと帰ってくっから待ってろ」
それだけ言って、黒尾さんは仕事に行ってしまった
・・・結局言えず終いになってしまった。
こうなったら、意地でも及川さんに勝って帰らないと・・・