第34章 月明り
『ん…』
目が覚めると、そこはいつもの見慣れた壁。
あぁ、ちょっと前までこんなことばっかりだったな。
気がついたら部屋のベッドで寝てて頭痛くて・・・綺麗なドレスのままってことに気が付いてお風呂に行く
・・・それが今久々に自分に起こっている。
今日は頭は痛くないし、綺麗なドレスじゃない。
でも、お腹のあたりがゴロゴロしてて汚れてボロボロになっている浴衣が昨日のことを物語っていた
あの後、金田一さんの運転で国見さんが家まで送ってくれた。部屋までは国見さんだからお姫様抱っこではなかったけど、ゆっくりベッドに寝かせてくれた。
「今日は休め。明日休みだろ?起きたら風呂入れよ」
ベッド脇に立ってあたしに布団をかけてくれた。国見さん、こういう時は結構優しい。言葉はきついけどね
すると国見さんは、持っていた自分の財布から紙を数枚取り出してそれを部屋の小テーブルに置いた
「しょうがねえから、金は払ってやる。明日産婦人科行きなよ。妊娠したいんなら別だけどね。」
それだけ言って国見さんは部屋から出て行った・・・と思ったら突然止まって再びあたしを見た
「その…、ごめん」
小さくてうまく聞き取れなかったけど、きっと国見さんなら滅多に言わないことを言われたんだろうと思った
そんなこんなで朝、あたしは国見さんに言われた通りお風呂に向かった。ボロボロになった浴衣は今度菅原さんに謝りに行こうと思って部屋のカーテンのレールにかかった大きなハンガーを取ってそれに掛ける
下着だけの状態でお風呂場に向かってシャワーを出す
温かい雨を受けてながら、あたしは自分の身体を見回す
手首には、強い力で掴まれたような痣がくっきりついていて見てるだけで痛々しい感じだ
『・・・ッ!!』
突然股の間に違和感を感じた。
シャワーを頭からかぶったままあたしは震える手をそっと女性器に触れる