第32章 大火と飴と・・・
『へへへ…』
「何?キモイ」
『国見さんって実は優しいですよね』
ぬいぐるみと飴細工をもらって上機嫌になってしまったあたしは。国見さんに普段なら聞けないことを聞いてみた。
「…俺は、別に優しくない。」
『優しいですよ。前だって松川さんと一緒にあたしを助けてくれたんですよね?』
「・・・でも、俺一回お前を殺そうとした。むしろ怒るだろ?」
ネコの飴を舐めながらあたしは国見さんの顔を見る。
詫びいれている様子はないが、少し困ったような感じ顔をしている。
『怒りませんよ。だってあたし、死んでませんもん』
ニコってすると、国見さんは視線を逸らす。
花火を見ているようで見ていない。ずっとスマホを触っている
「・・・。」
『でも、国見さんはいいんですか?及川さんのこと』
「あぁ、いいんだよ。あの人はもう俺じゃない別の奴を使うみたいだし」
別の人・・・なんとなく分かった。
きっと岩泉さんにけがさせた人。どんな人かは知らないけど、きっとすごい人。国見さんがここまで言うんだから
「・・・。」
すると、国見さんは急に視線をスマホから別のところへ移した。それは、公園のそばの林
人気はなさそうなのに、じっと見ている
『どうしたんですか?』
「・・・。」
あたしは言わない国見さんの視線の先を見た。
林の中は、暗くて何も見えないけど・・・
誰かが、コッチに向かってきている
すると、国見さんが立ち上がった。今まで見たことないくらい真面目な顔をして・・・
「…なんでお前がここにいるんだよ…
―――――――――――――影山・・・