第27章 黒猫の生きる意味
「えーん…えーん……」
嘘泣きをつづける少女の近くに、人の気配を感じた。
「お嬢ちゃん、ここに男が来なかったかい?黒髪の目つきの悪い…」
あの蛇男の声だ。誰が目つきの悪い男だと心の中で思うが俺はそれをこらえて様子を伺った。
「ぐすっ…さっき…おいちゃんが…怖い…おいちゃ…黙れって…言った…それで…あっち、…行った」
「…そうか、ありがとうね」
そう言って蛇男たちが離れていく音が聞こえた。嘘なきをしていたガキも、泣くのをやめて俺のもとに戻ってきた
「おいちゃん、大丈夫?」
「…あぁ、悪いなガキ。助かった」
瓦礫に隠れていた俺の横に座ってまた瓦礫の欠片を積み始めた。時折鼻歌を交えながら黒猫のぬいぐるみと話しながら楽しそうに遊ぶ姿は、子供らしい愛らしさを感じた
「お前…なんで俺を…?」
「おいちゃん、ケガしてるから。ケガをさせる人は悪い人。だからおいちゃんは悪い人じゃない」
俺に目は向けずにそうやって答えるガキ。
おいちゃんは悪い人じゃない・・・か、違うよ・・・おいちゃんは・・・ん?
「おい、俺はおいちゃんじゃねえ。お兄さんと呼べよ。まだ俺は17だ」
「あたし7歳!!」
「そうか、悪かった」
と、ガキの頭を撫でる。ガキは撫でられてうれしそうにエヘヘと笑った。その笑顔に俺もなぜか頬が緩んだ。こんなに穏やかに人を見るのは、久々だったからな