第26章 黒猫の戦う意味
黒尾さんに言われた通り、部屋で待っているとお風呂上がりの黒尾さんが入ってきた。髪がトサカみたいじゃないからパッと見誰か分からなくなるレベルだ。
「待たせたな」
『いえ…ってか…』
あたしは黒尾さんを直視できなかった。
だって黒尾さん・・・パンイチで登場ってどういうこと?
仮にもあたしが待ってるってわかってるよね!?なんでパンイチよ!!
『…あの、服着てください』
「あぁ?俺寝るときは絶対パンイチだっての。文句あるか?」
『あたしが嫌です。』
「我慢しろ…、それより…」
パンイチ姿の黒尾さんは、黒尾さんのベッドの上に座っているあたしの隣に座ってきた。ギシっと揺れたベッドは黒尾さんの方に深く沈んだ。
「頬、大丈夫か?」
『大丈夫、ですから…』
「そうか、殴って悪かったな…。びっくりしすぎて俺ちょっとパニクったわ…」
本当に申し訳なさそうにあたしの頬を撫でる黒尾さんはあたしに頭を下げた。あたしは黒尾さんの手を付けたまま首を横に振った。
『あたしも…すみません…』
「お前は悪くない、俺が悪いんだ…。お前に言わなきゃいけねえことがあるのに、隠しちまったから…だからお前を…不安にさせた…。」
あたしの頬についている黒尾さんの手がかすかに震えていた。やっぱり、言いたくないのかもしれない・・・でも、聞いてみたくなった
『黒尾さん…教えてください…、黒尾さんの、こと…』
あたしの頬に触れていた黒尾さんの手にあたしの手を重ねた。震えていた黒尾さんの手は、あたしが触れた瞬間黒尾さんの手は落ち着いたみたい。
あたしなんかの手より全然大きい手が頬から離れたと思ったら、今度はあたしの手を握り返してきた。
「…これ聞いたら、軽蔑するかもしれねえぞ?」
『…教えてくれない方が、嫌です』
「そうか…」
ふぅ…と息を吐いた黒尾さんは、ゆっくりと話し始めた――――――