第19章 動き出す
「白鳥沢は、確かに凶悪マフィアで海外との取引も盛んに行っている。違法なドラッグはもちろん武器や貴金属も…。でも奴らは売るものは違法物が多いが、約束事は守り禁忌は絶対にやらねえんだ。時間、量、場所はすべて約束通りに行い規律だけは守るグループだ。だからいくら違法でも警察はむやみに手は出せねえんだ。殺しもしねえしな」
「でも今回のことでそれは覆されるんじゃ…」
「白鳥沢のトップはあの牛島だ。前総帥のやり方に不満があった奴もいただろうし…改正の意もあって数年前からそうだ。」
「じゃあ今回の取引も、白鳥沢の名を名乗った誰かの…」
「いや、おそらくこれは白鳥沢の内部の人間のモノだ。現にこのドラッグの山は白鳥沢から出ているものだ。だから、白鳥沢の内部の人間が牛島を謀って違法に手引きしているか…あるいは…」
「関係ないっすよ」
茂庭の言葉を切り去ってワゴンの中のドラッグを見つめる二口は、口に入れていたキャンディをガリっと噛み砕いた
二口はワゴン車から降りて茂庭の前に立つ
「約束守ったり人殺しをしないからって捕まえない理由にはならないっすよね?違法は違法。そんなの白鳥沢を一網打尽にしちまえば一緒でしょ?茂庭さん」
「…二口」
「俺がいつか、白鳥沢も全部捕まえてやりますから」
と、棒だけになった飴を茂庭に向けた
その目は、自信たっぷりだった
「…あぁ、もちろんだ。だから今回は俺がきたんだ。彼にもいろいろ情報を上げたいし」
「…彼って」
「あぁ、井闥山を逮捕したときに協力してくれた…」
「ゲッ…まさか、またあそことまたやるんすか?」
「あぁ、要請はしてある」
彼という言葉に刑事達は喜怒哀楽を隠せなかった
特に眉なしの大男は少し喜び、二口はかなりいやそうな顔をしていた
「よし、じゃあ女川はまた情報収集を頼む。それ以外のみんなも引き続き白鳥沢についてあたってくれ。それから二口、井闥山の残党がまだ残ってるかもしれないからな…そこも探ってくれ。いいな」
「「「はっ!!!」」」
茂庭の言葉でそこにいた全員が敬礼をした
なぜなら彼は、こう見えてもマル暴の伊達班の班長でもあったから