第18章 岩泉の願い
「…はっ、少し落ち着いたか?」
『……むしろびっくりしました…』
さっきは目頭が熱かったのに今はほっぺが熱い
突然黒尾さんがキスをしてくるから・・・
ってかあたし一回この人に抱かれたはずなのになんかシラフでされるとなんか恥ずかしい・・・
「あら、もう一回行っとくか?」
『いっ…いいです!!』
まだキスして来ようとする黒尾さんの顔を押し返して即刻黒尾さんから離れた
すると、急に睡魔が襲ってきた
あたしは、そのままソファの上に倒れてしまった
*****
やっと寝たか
不安で寝れねえのは分かるが、とりあえず強制的に寝かしつけた
ココアの中に眠り薬入れてあれだけ泣けば寝るわな・・・と言っても微量だからな!?
「ったく、世話の焼ける」
と、俺はぶつぶつ言いながら夜琉を抱き上げて俺の部屋へ連れて行った
ベッドにおろして掛け布団をかけてやる
・・・と思ったけど、俺も眠いから一緒に寝ることにした
意識のねえ女を抱く趣味はねえから・・・
『んん…』
ベッドの壁側で寝る俺は、時々寝返りをうつ夜琉をしばらく見ていた
前に抱いた時も思ったが、やっぱりこいつはうまく成長したと思う
頬を撫でると、くすぐったそうに顔をクシュっと崩すのがまた可愛いと思ってしまう
でも・・・
ギュ・・・
意識はなくても、怖い気持ちは紛れないようで俺がベッドに入った瞬間こいつは一瞬で俺の方を向いて俺の服を掴んだ
そして身体は寝返りをうつけど服は絶対に離さなかった
『…おい…かわさ…』
「・・・。」
どうして・・・そこまであいつにこだわるのか・・・
殺されそうなのは分かってるはずなのに・・・
でも、俺はこいつを守るって決めたんだ
10年前、こいつに救われたこの命・・・・・・
今度はお前のために使ってやるからな・・・
ヴー…ヴー…
マナーモードになってた俺のケータイが鳴った
「おう…悪いな、明日のことなんだが…木兎はスタジオか?……あぁ分かった。あぁ言わなくていい。あんまり広められると困るしよ。じゃよろしくな」
と言って耳からスマホを離してベッド脇の小テーブルにスマホを置いて俺は夜琉を抱きしめて寝た