第16章 幸せな時間
「よし、じゃあ2人ちょっといらっしゃい」
風呂上がりに俺とトオルは紫乃さんに呼ばれた
あとのみんなは、もう寝に入っていた
「…ほい、ホットミルクだよ。少しは落ち着いたかい?」
「…はい、俺達を助けてくれてありがとうございました」
「いいんだよ、ここはあんたたちと同じような境遇の奴らが集まってんだ。それより、何があったんだい?」
ホットミルクに口を付けながら、俺とトオルは今までの生活のことを話した
どうしてあそこにいたのか、あの雨の日に何があったのか・・・
「…白鳥沢、またか…」
「えっ…」
「あっ、何でもないよ。大変だったなあんたたち。えっと…ハジメとトオルでいいんだよね?」
「はい、あの紫乃さん。ここにいる奴らもみんなスラムの…?」
「うん、何人かはね。2人と同じように親に捨てられたりした子達なんだ。でも、あの2人はちょっと違うんだよね。あの2人は、ここをつくった時からいるんだけどね・・・」
紫乃さんは、あの2人・・・松川と花巻のことを話してくれた
花巻は、父親が母親と自分にひどい暴力を振るっていたらしい
耐えられなくなった母親は自身を見捨てて自殺。逆上した父親がついに性的暴力をくわえるようになったらしい。
耐えられなくなった花巻は、黙って家を出て、その時偶然紫乃さんが助けたらしい
松川は、勉強家の両親のもとに生まれたため6歳の時点で中学生の勉強をさせるなどの無理強いを強いられていたらしい。それに嫌気がさした彼は、小学校のテストでわざと0点を取ったらしい。そうしたら、両親たちの怒りにふれ家を追い出されてしまったらしい