第14章 岩泉の告白
『う~ん、おいしかった~♡』
「お前…加減しろって言っただろ?!」
『だっておいしかったんですから~。岩泉さんごちそうさまです♡』
「テメエ…!!」
あの後、あたしは特盛プラスで替え玉もしたしギョーザも頼んでしまった
おかげで岩泉さんには大目玉だ
「いやー、夜琉いい喰いっぷりだったぜえ。」
「見ていて気持ちが良かったよ」
「岩泉、ちゃんと金払ってくれよ。」
「勘弁してくれよ…ここでこんなに払うなんて…」
岩泉さんが頭を抱えてるところを見てお店の人もあたしも笑顔になった
「・・・やっと笑ったな、お前」
頭を抱えていた岩泉さんが急にそんなことを言い出した
状況の分かってないお店の人はきょとんとしてたけど、あたしは・・・
『あっ…』
「お前はそっちのがいい…大地君ごちそーさん」
カウンター席から立ち上がった岩泉さん
大地さんは毎度ありと言って送り出してくれた
あたしも立ち上がって店の人達に頭を下げた
店を出た岩泉さんは、置いてある軽トラには向かわず、歩道を歩き出した
『あの、岩泉さん。けっトラいいんですか?』
「あぁ、後で回収に来るからいい。それと、もう一軒行くぞ」
『…またご飯屋ですか?』
「んなわけあるか…、言ったろ。紫乃さんのこと教えてやるって」
顔は見えなかったけど、その背中はとても寂しそうだった
そんな岩泉さんをただ追うことしかできなかった